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執筆者の写真Task Ito

ケース3:あじさいデンタルクリニック新井修先生


今回のインタビューは、あじさいデンタルクリニック院長の新井修先生です。


学生時代はトランペット演奏に没頭していた新井先生。一冊の本との出会いをきっかけに歯科医師への道を歩み始めました。卒業後は研究者としての道も模索しましたが、様々な人生の転機を経て、自身のクリニック「あじさいデンタルクリニック」を開院するに至ります。

「女性が輝く歯科医院」をコンセプトに掲げ、スタッフ一人一人の個性と能力を最大限に引き出すスタイルは、患者さんからも非常に高い評価を得ておられます。音楽療法を取り入れた診療や、予防歯科に重点を置いたアプローチなど、新井先生の取り組みは、地に足がつきながらも革新的なものでした。大変勉強になるお話をたくさん伺いましたので、ぜひお読みください。


ーー本日は、あじさいデンタルクリニック院長の新井先生にお話を伺います。新井先生、まずは歯科医を志された理由からお聞かせください。


新井先生: はい。まず、私の家族背景からお話しますと、父が歯科技工士、母が歯科衛生士なんです。歯科の仕事に携わる両親を持っていたわけですが、意外にも、親から歯科医師になれと言われたことは一度もありませんでした。


ーーそれは意外ですね。ご両親の影響で歯科医師を目指された、というわけではなかったのですね。


新井先生: そうなんです。私が歯科医師を志したきっかけは、実は音楽なんです。学生時代、私はトランペット演奏に没頭していました。そんなとき、歯科医である根本先生が書かれた「すべての管楽器奏者のために」という本に出会ったんです。その本には、管楽器奏者にとって歯がいかに大切か、詳しく書かれていました。


ーーなるほど、音楽と歯科の意外な関連性に気づかれたのですね。


新井先生: そうなんです。その本を読んで、「歯科医師という仕事は自分に合っているかもしれない。好きな音楽も生かせるかもしれない」と思ったのです。それが、歯学部を志すきっかけになりました。実は、歯学部を志す際に、根本先生には手紙も書きました。「どの歯学部に行ったらいいですか?」と相談の手紙を書いたのです。


ーーおお、それはとても思い切ったことをされましたね。返信はあったのでしょうか。


新井先生: はい。「お手紙ありがとうございます。歯科医師になりたいという志、素晴らしいと思います。どんな大学でもご自身の努力で素晴らしい歯科医師にはなれますので、大学にこだわりすぎる必要はないと思いますよ。」という返信をいただきました。その手紙は今でも大切に保管しています。初心を思い出させてくれる大切な宝物です。


ーーその言葉に導かれて歯学部に進学されたわけですね。学生時代はどのように過ごされましたか?


新井先生: 学生時代は、本当に充実していました。オーケストラでホルンを吹きながら、水泳部にも所属していました。正直、勉強よりも部活動に打ち込んでいて、毎年留年しそうな状態でした(笑)。でも、なんとか留年せずに卒業することができました。


その時期に出会った仲間や経験は、今でも私にとって非常に大切なものです。多忙な中でも時間管理の大切さを学びましたし、多様な活動を通じて柔軟な思考力も養えたと思います。

また、これは大学卒業後のことですが、根本先生が大学に講演に来られた時に実際にお会いして感謝の言葉をお伝えすることができました。「昔、手紙を出したものです」と自己紹介したら、とても喜んでくださいました。その後、横須賀のクリニックにお会いしに行ったり、中華料理をご馳走になったりしました。


ーーとても素晴らしいエピソードですね。先生の歯科医師のスタート地点に音楽が強く関係していることがわかりました。大学卒業後のキャリアについてもお伺いできますでしょうか。


新井先生: はい、卒業後は3年ほど大学で研修医となりました。研修医は、大学病院のヒエラルキーの中では、一番下に位置しますので、本当に大変でした。大学を卒業したとはいえ、まだ経験も知識も足りない中、先輩方からいろいろな指導をいただいたり、かなりの長時間働いたりもしました。ただ、そこでの経験は今でも大きく生きています。その後、大学院に入学することになり、口腔内細菌と全身疾患の関連性について研究していました。このときの内容が、現在の予防歯科中心の治療につながっています。


そのまま研究者として生きる道もあったのですが、家庭の事情もあり大学院を途中で中退し、まずは横浜の歯科医院で歯科医師として働く道を選びました。研究者というキャリアを諦めるのはつらかったですが、歯科医師として目の前の患者様に一生懸命貢献する、というのも非常に素晴らしい経験でした。


ーーその後、愛知県に移られたと。


新井先生: はい、結婚を機に愛知県のクリニックで働くことになりました。約1年間副院長として働いた後、豊田市の分院長として5年間勤めました。分院長時代は、経営的な面も含めて多くのことを任せていただきました。スタッフのマネジメント、患者さんとの信頼関係構築、地域との連携など、歯科医院を運営する上で必要なスキルを身につけることができました。その後、名古屋市中川区の戸田ファミリー歯科の院長として10年間働きました。


ーー院長として多岐にわたる経験をされたかと思いますが、いかがでしたか。


新井先生: 戸田ファミリー歯科での10年間では、本当に多くのことを学びました。それまでもやってきたことではありますが、とにかく目の前の患者さまとしっかり向き合い、良い関係を築き、その方のために最良の治療を提供することに心血を注ぎました。

また、スタッフの育成にも力を入れました。歯科医療は、医師一人では成り立ちません。歯科衛生士、歯科助手、受付スタッフなど、多くの専門職が協力して初めて、質の高い医療を提供できるのです。彼らの成長を見守り、サポートすることが本当に重要なのです。


ーーそして、あじさいデンタルクリニックの開院に至ったわけですね。開院にあたって、どのようなビジョンをお持ちでしたか?


新井先生: 「女性が輝く歯科医院」を作りたかったんです。歯科医院のスタッフは女性が多いですが、彼女たちを単なる補助として捉えるのではなく、主役として輝いてほしいと思っていました。AKBの秋元康さんのように、私は裏方に徹して、スタッフ一人一人が主役になる、そういうクリニックを作りたかったのです。もちろん、責任は私が取り、全体としての枠組みも私が作ります。その中で、スタッフたちには個性を生かし、楽しく生き生きと働いてほしいなと思ってクリニックを開院しました。


ーー: 具体的にはどのような取り組みをされているのでしょうか?


新井先生: まず、スタッフ一人一人の個性と能力を最大限に生かせるよう、適材適所の人員配置を心がけています。また、定期的なスキルアップ研修や、スタッフ間のコミュニケーションを促進するイベントなども実施しています。


さらに、ワークライフバランスを重視し、育児や介護との両立支援制度も充実させました。これにより、長く働き続けられる環境を整えています。


ーー素晴らしい取り組みですね。お客様からはどのようなお声がありますか?


新井先生: よく言われるのは「入った瞬間から空気が違う」ということです。スタッフ一人一人から醸し出される前向きな雰囲気を、お客様にも感じ取っていただけているのだと思います。また、「スタッフの方々の笑顔が素敵」「説明がわかりやすい」「居心地が良い」といった声もいただいています。


ーースタッフの方々はあじさいデンタルクリニックで働くことをどう感じていらっしゃいますでしょうか。


新井先生: 自分の能力を発揮できる場があることを喜んでくれています。「やりがいを感じる」「自分の意見が尊重されている」といった声が多いですね。中には、「ここで働くようになって、歯科医療の仕事がもっと好きになった」と言ってくれるスタッフもいます。


ーー素晴らしいですね。逆に、開院されてから苦労したことはありましたか?


新井先生: やはりスタッフマネジメントですね。考え方が合わないスタッフが出てきたり、スタッフ内でのいさかいが起こることもごくまれにですがありました。また、クリニックのコンセプトと合わない患者さんもときたまいらっしゃいます。


ーーどうしてもすべてが順調にはいかないですよね。おっしゃっていただいたような課題には、どう対処されましたか?


新井先生: 基本的には、オープンなコミュニケーションを心がけています。問題が起きたときは、できるだけ早く当事者と話し合い、互いの考えを理解し合うようにしています。ただ、それでも退職してしまったスタッフもゼロではないです。それは致し方ないことだと思ってはいますが、定期的にスタッフやお客様の声を聴き、よりよいクリニックにできるように工夫は続けているつもりです。


ーー新井先生は非常に丁寧な対応をされているという印象を受けました。ところで、「あじさいデンタルクリニック」という名前にはどのような由来があるのでしょうか。


新井先生: いくつかあります。まず、私自身があじさいという花が大好きなんです。また、開院が6月だったこともありますね。あと、私は「あじさいの唄」という漫画がとても好きなのです。江戸時代を舞台にしたノスタルジックな人間模様を描いた作品なんですけれども。その漫画からもインスピレーションを受けています。


そして何より、あじさいの花は小さな花がたくさん集まってひとつになり、色もさまざま。これは私が実現したい「多様な人々が生き生きと働く」というテーマにぴったりだと思いました。


ーー素敵な由来ですね。開業後、特に印象に残っているエピソードはありますでしょうか?

新井先生: はい、嬉しいことに、当クリニックに通っているお子さんたちの中に、将来歯科医師や歯科衛生士になりたいと言ってくれる子がいるんです。スタッフが楽しそうに働いている姿や、人の役に立っている様子を見て、子どもたちも仕事の素晴らしさを感じ取ってくれているのだと思います。


「仕事はいやなことではなく素晴らしいものなんだ」ということを感じると、子どもの未来は明るくなっていくのではないかと思っています。大人になるのが楽しみになりますよね。実際に歯科衛生士の学校に進学した子もいます。


ーースタッフの方々の成長についてはいかがでしょうか?


新井先生: スタッフが成長していく姿を見るのも大きな喜びです。できなかったことができるようになったり、苦手な患者さんにも上手く対応できるようになったり。そういった成長を目の当たりにすると、本当に嬉しくなります。


例えば、以前は緊張して患者さんとコミュニケーションを取るのが苦手だった歯科衛生士が、今では患者さんから信頼され、笑顔で会話しながら治療を行っている姿を見ると、胸が熱くなります。


ーー素晴らしいですね。最後に、今後の展望についてお聞かせください。


新井先生: 将来的には、治療をあまりしなくていい医院にしたいですね。ドクターの出番が少ないクリニック。つまり、患者さん自身が口腔内の健康を守れるようになり、予防医療が中心となる歯科医院を目指しています。


具体的には、お客様に正しい歯磨きの方法や、食生活の改善など、日常生活で実践できる予防法を丁寧に指導しています。


また、定期的なクリーニングや検診の重要性を広めていきたいですね。早期発見・早期治療によって、症状が重くなる前に治療することができます。


さらに、歯科医院だけでなく、保育園や学校、高齢者施設など、地域全体で口腔健康を守る取り組みを進めていきたいと考えています。例えば、保育園での歯磨き指導や、高齢者向けの口腔ケア講座など、年齢に応じた予防プログラムを展開していきたいですね。


ーー地域全体の健康を支える、大きなビジョンですね。


新井先生: はい。最終的には、歯科医院だけでなく、食事を提供する場や、健康的な生活習慣を学べる場など、総合的な健康支援のコミュニティを作ることも視野に入れています。歯の健康は、全身の健康につながります。口腔ケアを通じて、人々の人生をより豊かにする。それが私の目標です。


ーー新井先生、本日は貴重なお話をありがとうございました。音楽から始まり、歯科医療を通じて人々の健康と幸せに貢献されている姿に、大変感銘を受けました。今後のさらなるご活躍を期待しています。


新井先生: こちらこそ、ありがとうございました。これからも患者さんとスタッフの笑顔のために、日々精進していきます


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